料理をするときあく抜きをしますか。野菜では「水に〇分間浸しましょう」と料理本で紹介されていますが、私はその指示は一切無視しています。理由は面倒くさいからです。水に浸すという作業が一つ増えるのが煩わしい、洗い物が一つ増えるなどなどの理由からあく抜きをしません。
「効率化を求めてあく抜きをしない方が良い」ではあく抜きをやめた方が良い理由には弱いかなと思います。
そこで今回は水にさらすとポリフェノールが損失することを示した論文を紹介します。論文に行く前に前提を整理します。ナスのあく(渋みを呈するもの)はクロロゲン酸でありポリフェノールの一種です。つまりあくを抜くとクロロゲン酸が損失され栄養価が低下します。
実験内容
水にさらしたナス(さらしナス)と生のナス(生ナス)をそれぞれ「炒める」「揚げる」で調理し、ナス中の全ポリフェノールとクロロゲン酸を定量した。またナスに付着した油も同様に定量した。
結果
水にさらしたナスの前後のクロロゲン酸の量は変わらす、水にもほとんど流出していなかった。炒めた場合、生なすはさらしナスに比べクロロゲン酸は約1.4倍も多く、全ポリフェノールは1.6倍多かった。揚げた場合も生なの方が多くクロロゲン酸に関して約2倍の差がついた
これらを受けて
水にさらすとポリフェノールがここまで違いが生じたことに驚きました。揚げた場合はクロロゲン酸の量に2倍もの差がついており、「揚げなすうめぇ~」って食べていると栄養摂取の機会損失になっています。炒めた場合も同様でポリフェノールが流出し付着油にも大量についています。しかし逆を言うとこれだけ渋み成分のクロロゲン酸が流出しているのでえぐみは感じないと思います。
ナスを食べていて私はえぐみを感じたことが無いので、もちろんこれからも水にさらすことはないです。
そもそもクロロゲン酸って何?となっていると思います。次回はクロロゲン酸について述べていけたらと考えています。
——–参考文献——-
黒澤祝子 (1988):食用油調理におけるナスの全ポリフェノールとクロロゲン酸について 調理科学21巻2号