結論:クロロゲン酸は糖化ストレスから守る
糖化ストレスによる終末糖化産物はさまざまな悪影響を与えます。終末糖化産物が生成、蓄積が進行するとアルツハイマー病をはじめとした認知症の進行、骨が脆くなる骨粗しょう症、糖尿病合併症を患うなどいわゆる「老化」が進行します。この老化の進行を抑制するのがクロロゲン酸です。
クロロゲン酸は自然界で再生される物質で、身近な食べ物にナスがあります。クロロゲン酸は渋み成分を呈する物質で、切り口が褐色に変化するのもこの物質が原因です。今日紹介する論文はナスの調理法によってクロロゲン酸の抗糖化ストレスの変化について研究されました。
4つの調理法
調理法は焼く、揚げる、煮る、ぬか漬けの4種類で、調理後にそれぞれクロロゲン酸の濃度(μg/ml)と抗糖化ストレスについて調べられました。
結果
濃度は調理後のナスから抽出した成分のうちどれだけクロロゲン酸が含まれているか示されています。クロロゲン酸の濃度は焼く>揚げる>煮る>ぬか漬けの順になりました。抗糖化ストレスも同様の順位になり、クロロゲン酸を多く含むほど抗糖化ストレスが強まる結果になりました。(相関係数r=0.900)
他には
品種による抗糖化ストレスの差異についても調べられた。長ナス、小茄子、水ナス、米ナス、白ナスの抗糖化ストレスの強さはは小茄子>長ナス>米ナス>米ナス>白ナス>水ナスの順になった。
これらをうけて
クロロゲン酸は老化を抑制する物質であり、多いほど抗糖化ストレスを発揮すると期待されています。ナスにも含まれていると知られており、先述の通り調理法によってクロロゲン酸の量が変化すると示されました。この損失の仕方は2分され、焼きと揚げ、煮るとぬか漬けに分けられます。前者のグループは生のナスと比べ5%未満の増減に対し後者のグループは35%以上減少しました。著者は煮た場合、煮汁にクロロゲン酸が流出した可能性があり味噌汁やスープのような煮汁ごと食べる調理法であれば焼きと揚げと同等のクロロゲン酸を摂取できると考察しています。ただぬか漬けは菌によって分解されている可能性があり損失分はカバーできないと可能性が高いと考察しています。
難しい話は置いといて、野菜は食べた方が老化防止になるぐらいの認知で良いと思います。
——–参考文献——-
八木雅之 馬場可奈子 﨑山智恵子 小椋真理 髙部 稚子 米井嘉一 (2022):糖化ストレス抑制食材としてのナス品種と調理法の影響(日本語訳版) Glycative Stress Research 9 (2): 55-62
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