ブログ

農業weekに行ってきた!

農業weekに行ってきた!

2023年10月上旬に幕張メッセで開催された農業weekに行ってきました。農業weekって何?と疑問に思う方もいるでしょう。ざっくり言えば「農業の万博」です。農業分野にかかわる先端技術やそのトレンドが分かる展示会になっています。広がり始めた農業用ドローンから、新しい微生物資材、さらに農業のフランチャイズまで様々な関連会社が出展していました。中にはまだ商品化していない技術まで展示してあり、インターネット検索では見つけられない技術が見れます。農業の展示会は先端技術を勉強するために、とても役立ちます。

なかでも、おもしろい!と思ったブースを3つ紹介します

 

農業ドローンによる種まき【株式会社大陽】

農業ドローンで種をまく技術を開発していました。今までの農業ドローンは農薬散布が基本でした。上空から農薬散布するので、田んぼの中に入らなくて済む、果樹園では傾斜地に人が入らず農薬を撒ける、ぐらいでした。正直、これだけではあまりメリットがありませんでした。ドローンが農薬を散布するだけの機械で、その他の目的に使えなかったからです。

しかし、種を撒く技術がプラスされたことで、ドローンの使用用途の幅が広がりました。田んぼの稲作をこのドローンに変えることで省力化ができます。稲の種(つまりお米ですが)を直接田んぼに撒くことを直播(ちょくは)と言います。

従来の稲作では、お米から芽を出す→1ヶ月間育てる→農地に稲を運ぶ→田植え機に稲を乗せる→田植え、という過程を踏んでいました。稲を育てた箱(育苗箱)は特に重く、それを運ぶのは重労働です。田植えをするまでに育苗施設から農地へ運ぶ、それを田植え機に乗せる、の2回も運ばなくてはなりません。しかも何百枚も!さらに田植えには大人が4人以上いないと回りません。地域の協力があってこそですが、高齢化や農業人口の減少により協力体制も弱くなっています。

苗の様子(育苗箱)

田植えの様子

苗を田植え機に積み込む

 

 

直播ではこれらの工程が一切なくなります。なぜならお米を直接田んぼに植えるからです。ドローンを動かすだけですから、1人でも行えます。費用面でも効果的で、従来では田植え機(300万円)、農薬散布機(100~300万円)が必要でしたが、ドローン(300万円+オプション)で済みます。機械も少なくできる、人件費も削減できる、バッテリーだからガソリンよりもお得…いいことは沢山あります。ドローンバンザイ\(^_^)/

乳酸菌を使った栽培(マルナカ松屋商事株式会社)

土壌中の微生物の豊かさが野菜の美味しさを決めると言われています。(詳しくはこちら→株式会社DGCテクノロジー)松屋商事さんの商品は植物由来の乳酸菌を土壌に与え、土壌の微生物を豊かにしよう!という資材です。乳酸菌は土壌の有機物を分解して植物が利用できる無機物へ分解するだけでなく、乳酸菌が土壌にもともといる微生物(土壌由来微生物)の餌にもなります。与えた乳酸菌だけでなく土壌由来微生物が増えることで、バランスを保ちつつ、土全体の微生物の菌数が増えます。

微生物が増えると何が良いでしょうか?それはおいしい野菜になります。エグミのもとである硝酸態窒素は野菜の成長になくてはなりませんが、野菜への残存性が変わってきます。化学肥料で育った野菜は硝酸態窒素が残りやすく、逆に微生物が豊かな土で育った野菜は硝酸態窒素が残りにくいことが分かっています。だから化学肥料を使わない有機野菜はおいしいのです。

ちょっとマニアックな話ですが、野菜(植物)も硝酸態窒素の好き嫌いがあります。成長に欠かせない硝酸態窒素ですが、化学肥料由来のもの、微生物由来のものの2つを比較し、植物がどちらを好んで利用するか調べた実験があります。その結果は微生物由来の方が化学肥料に比べて2.3倍も好んで利用されていました。野菜本来のおいしさを引き出すためには微生物が豊かな土で栽培した野菜です。

なぜ、その方がおいしく感じるか書き始めると人の歴史から始めなければなりませんので割愛します…。

植物工場(出展企業多数)

植物工場はケーキ屋にあるショーケースみたいな棚でLEDライトを使って栽培します。主に葉物野菜が中心で、食用の花もありました。中には「イチゴも作れるようになりました!」と銘打っている企業さんも。

私の率直な感想は植物工場が広がるのはまだ先だと思います。LEDライトがいくら明るいとはいえ、その光の強さは太陽の足元にも及びません。太陽のもとで育った野菜と比較すると色付きがどうしても弱いです。植物工場は化学肥料を基本に栽培するため、先ほど既述した通り、土で作った野菜には敵いません。現時点では野菜のの形をした別物です。

しかし、技術は一つの発明により飛躍的に進歩する可能性を秘めています。これらの課題を吹っ飛ばすかもしれません。また、不味くても野菜をひたすら作らねばいけないときが来るかもしれません。その時は植物工場は全国へ広がるでしょう。